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Mike Shiraishi 

 

 

レンタル・ビデオで見るニューヨーク

一番最初に感動したNYって、きっと映画の中のソレではないだろうか?
 NYを舞台にした映画は実に限りなく続けられている。幾つか思いつくままに題名を挙げてみると。ロバート・デ・ニーロの「恋に落ちて」やウーピー・ゴールドパークの「ゴースト/NYの幻」オードーリー・ヘップバーンの「ティファニーで朝食を」ウッディ・アレンの「アーニーホール」や「マンハッタン」「ダニー・ローズ」カルキン坊やが大活躍する「ホームアローン2」それこそキラ星のようにある。
 僕の場合はオッさんなもンですからグッと時代が遡って「真夜中のカウボーイ」「タクシー・ドライバー」あたりが、イメージとしてすぐに浮かんでくる。特に高校時代(1960年代)に見たNYを舞台にした映画は強烈なインパクトとして、ある種原初体験にも似た形となって心の奥隅みに今でも残っている。
 おそらくなんだが、僕が最初に見たNYを舞台にした映画は、小学校の頃、母に連れられて見にいった若き日のマーロン・ブランドが出ていた「波止場」という社会派の映画だったと思う。その時期、母とは「市民ケーン」を見にいった記憶もあるし、ジャン・コクトーの「オルフェ」と「美女と野獣」の二本立てを見にいった記憶もある。考えてみると、うちのオフクロてぇやつは当時とんでもないモダンねぇちゃんだったんですな。子ども連れで、スゲェ映画を見にいっている。流石にあの時代にアメリカ人のうちの親父と大恋愛の末に一緒になっちまうだけのことがある。いやはや、とんでもネェおんなだと、実は日頃から密かに尊敬しているのだ。
 すいません、話が脱線した。とにかくこの「波止場」という映画が、僕が始めてみたNYの映画だった。マフィアが取り仕切るフルトン市場を舞台にした、真面目な社会派作品で中々の佳作である。つい最近ビデオで見直す機会があって、50年代のマンハッタンの雰囲気を見事に伝える素晴らしい映画だと、再感動した。
 それと、子供のころに観た映画で憶えているのは「グリニッジヴィレッジの青春」という作品。細かいディテールまで憶えていないんで、ビデオが観たいなと思ったんだけど、残念ながらビデオ化されたのが随分前の作品だから、どこのレンタル・ビデオ屋に行っても置いてなかった。惜しくも再見ならずに、この稿を書いている。
 このレンタル・ビデオ屋で出会えるNYというやつ。考えてみると、相当面白い。

例えば、思い切り定番の「ウエストサイド物語」なんかも、ストーリーを追うのではなく、舞台の背景を見回してみるために借りると、なるほど。あのオープニングのアッパーウエストサイドのスラム、俄然光ってくるのではないだろうか。もちろん今では、あの話の舞台になった地区は見事に再開発されて消えてしまっているが、あの街の雰囲気はまだまだソコカシコに残っている。
 どうだろうか?NYへ遊びにいく前に、何本かNYを舞台にした映画をビデオ屋さんで借りてみませんか。きっとすごく新鮮に興味深いNYに出会うことが出来ると思う。 この稿では、幾つかお薦めのNY映画を思いつくままに紹介してみよう。
 ミア・ファーロが出演した「ローズマリーの赤ちゃん(68年)」というのがある。舞台は、あのダコタ・ハウス。故ジョン・レノンが住んでいたアパートである。周辺のアッパー・ウエストサイドを実にさらりと描いている佳作だから必見である。
 ブルース・ウィルスの「ダイハード3」(95年)もNYという街を縦横無尽に描いている。観光案内映画としても実によく出来ていて、細かい気配りが見事な作品だ。中でもセントラルパークを突っ切るカーシーンは猛烈に可笑い。
 オードリー・ヘップバーンの「ティファニーで朝食を」の中でポーリンが住んでいたのはアッパー・ウエストサイドのアパートだった。72丁目、パーク・アベニューとレキシントン・アベニューの間、通りの北側にあるから探しに行ってみたら如何だろうか?
 マイケル・キートンの「サ・ペーパー」(95年)はNYの地元3流新聞社を舞台にした作品である。彼の出る映画には、実に細やかにNYが描かれているものが多い。どれも素晴らしいものばかりだが、僕はこの一本が好きだ。
 メラニー・グリフィスがスタッテン島からフェリーで通勤している「ザ・ワーキング・ガール」(88年)も面白い。たしかに秘書という経歴の女性がサクセスしていくのは、あの街では至難なことなのでしょうな。フェリー通勤するOLというのを、きわめて象徴的に描いていた。
 ジョン・ローンの「イヤー・オフ・ザ・ドラゴン」(85年)は、なかなか窺い知ることの出来ないチャイナ・タウンの奥底を舞台にした映画である。あれは必見の価値がある。映画そのものは、わりと鬱とおしい作品だったが、街そのものは見事に描いていた。
 「星の王子様NYへ行く」(88年)では、エディ・マーフィの王子様がお妃探しにNYへやって来る。ハーレムのボロいレストランや、王族のためのホテル、ウォルドルフ・アストリアなどが見事対比して描かれていた。あの格差が実にNY的ですな。  ダスティ・ホフマンもNYを舞台にした作品が多い俳優である。「トッツィー」(82年)の最初のシーンに出てくる57丁目のロシアン・ティー・ルームもお洒落だが「クレーマー・クレーマー」(79年)の中で、息子が通っていた小学校がW.81stにあるPS6であることは、意外に知られていない。
 トム・ベレンジャーの「誰かに見られている」の中には、グッケンハイム美術館で開かれているパーティのシーンが有る。あまり登場することの少ない舞台だから、ぜひご覧になっておくと良いと思う。
 ちょっとカルトな特撮ものだが「襲う巨大怪鳥Q」(82年)というのが有る。映画としては最低な出来だが、クライスラー・ビルを素材としてる作品だから、NYが大好きな人には絶対必見の映画である。クライスラー・ビルの美しさを鑑賞するために、酷い筋立てと稚拙な特撮は我慢して見ましょう。
 「レモ/第一の挑戦」は、結局のところ第一の挑戦だけで終わっちまったスカみたいな映画だけど、最後のクライマックスである決闘シーンが修復中の自由の女神の足場ときてる。困ったなあ、あんなアホ映画観たくないけど、あのバードゲージの中に閉じ込められた自由の女神はまた見たいなあ。そんな気になっちまう映画だ。
 NYを舞台にした特撮ものと言えば最大物は「キングコング」(38,76年)である。世紀の大スター、キングコングはデビューでエンパイア・ステート・ビルに登り、2回目はワールド・トレードセンターヘ登った。最初の作品はハリウッドでセットが組まれたハリボテもンだから、いまさらNY見物のために見直す必要はないが、76年にリメイクされたものはオール・ロケを敢行しているので、なかなか面白い。映画としては大した出来ではないが、NY観光映画としては十分見る価値ある作品だ。
 最近の秀作は何といってもデビット・ボゥイが怪演している「バスキア」(96年)だと思う。アンディ・ウォーホルを中心にして回転するNYアート・シーンが、まだまだパワフルで素敵だった時代を描いた作品である。
 最後に僕が好きなNYを舞台にしたベストムービーを5連発で。
 「真夜中のカウボーイ」ひたすら暗い60年代のNYを見事に表した名作。見てるだけで、クラーい気持ちになれる映画だ。
 「タクシー・ドライバー」ベトナム戦争が、どれほどこの街にも暗い陰を残したか、ダスティ・ホフマンの名演が眼に染みる名作である。
 「ゴーストバスター」トライベッカに実存する消防署を使ったり、市内オールロケが猛烈楽しい快作。最後のほうでマシュマロマンが歩いてくる通りはどこでしょ?
 「踊る大紐育」MGM最初のオール・ロケ敢行のミュージカルである。50年代の旧き良きNYを忍ぶのにこれ程うってつけの映画はない。
 「ロードウォーリアーズ」マンハッタンの荒廃した地下鉄を見事に描いたロード・ムービー。この映画で描かれているNYの地下鉄が一番当時の雰囲気を伝えている。

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