最近、東京の街角にオープン・スタイルのレストランや喫茶店が増えてきたね。まるでパリの左岸サン・ジェルマン・デ・プレや、NYCのクリニッジ・ヴィレッジにあるような、瀟洒な感性の店を街を歩いていると良く見かけるようになったと思わないかい?。
地下鉄外苑前を降りてベル・コモンから外苑西通りを歩きながら考えたのは「東京ってここ数年の間で本当にとてつもなく大きく変質しつつあるのかもしれないなあ」ということだった。
マンハッタンに韓国人経営の24時間営業のデリが登場しはじめて、あの街の夜が明るくなっていく時に感じた「街が変わっていく!」という印象。あれと同じものを僕は今、東京という街に感じている。そのひとつがオープン・スタイルのレストランや喫茶店の台頭なんだ。そのうえ、席でそのままチェックするようなお店まで現れたりして、思わず帰りにチップを置いて帰りたくなるような錯覚に陥ることさえある。
本物指向ということ。これが今の東京を表すキーワードのひとつだと僕は思う。
たとえばフランチャイズ・ビジネスで言うならば、スターバックス・コーヒーみたいな店が圧倒的に支持されるようになった。これってフード・ビジネスをやっている人々にとってはメからウロコだったんじゃないだろうか?大抵の業界、海外のモノが国内に導入されるときは「日本は特殊な土壌だから、日本的解釈がされなければ、日本人には受け入れられない」というのが通説だったのに、スターバックス・コーヒーやバーガー・キングは、こうした日本的方法への全くのアンチテーゼとして見事大成功を遂げてしまったのだ。
そこに痛烈な時代のシフトを感じた人は、きっと沢山いると僕は思う。
街で出会う小さなレストランやブティックも、メニューを黒板にしたり、ディスプレィをらしくしたり、ファザードを凝ったデザインにしたり、そんなただ単に外づらを真似しただけではなく、もっと本性の部分で質的な変革をしつつある。たとえば、ちゃんとしたアルデンテのパスタが、普通のレストランで当然の如く出てくるようになったこと。うーんと唸ってしまうようなお洒落な小物が、ふらっと入ったブティックで売っているようになったこと。これって本当に凄いことだと思う。原宿通りから横露地に入った辺りに最近増えはじめた、いかにも某ブランドでバイヤーをやっていました!という感じのオーナーさんたちがやっているブティックに並んでいるウエアも「ふぅん、いいじゃん」と思ってタグをチェックしてみると、全然知らない国産ブランドで、それも添えてある電話番号が03から始まるものだったりするんだよ。ボトムアップという言葉を使うならば。正に東京は今、猛烈な勢いでボトムアップを遂げつつある。
ボトムアップ。これが今の東京を表すもうひとつのキーワードだろう。
「より本物指向になる」ということが「質」の変革だとすると、ボトムアップしていく」ということは「量」の変革である。すなわち今、この東京という街に起きている大きな鳴動は決して一過性のものではなく、抜本的な変革であって「田舎の姉ちゃん」が「**クリエーター」に変わってしまうような、とんでもない変身なんだと僕は思うね。
渋谷から神宮にかけて。外苑西通り辺りまでを歩いていると、本当に実感として「東京って、変わってきたなあ」と感じる。これって、すごく良いことだと思う。
街の「匂い」というか「勢い」というか、そんなものに敏感な若い子たちが集まる場所も、すでに渋谷センター街や竹下通りではない。外苑通りから一歩奥に入った複雑に露地が入り組んだ神宮前辺りなんですよ。ユーズドを中心に取り扱うブティック。キッチュな玩具の店。きわめて明快なコンセプト・ショップ。オーナーの意志を感じるブティック。ちょっと前なら「いいなあ!でも長持ちしないだろうなあ」と思えるようなお店が、そん
な若い子たちに圧倒的な支持を受けているのだ。そしてそのほんの少ししか離れていない場所に瀟洒な、大人たちの集うレストランやショップが立ち並ぶ街がある。
面白いと思わないかい?大通りを一歩入ると、普通の何処にでもあるような東京の風景を持つ街である神宮前が激震地だなんて。