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Mike Shiraishi 

 

 

初秋に歩くブルックリン橋遊歩道
ブルックリン橋が一番美しく見えるポイントは2か所。ブルックリン・ハイツのプロム ナードとサウス・シーポートのピア17からである。前者はイーストリバーを挟んだ向こ う側、ブルックリンク区にあり、後者はロアー・マンハッタンの東の外れにある。  
サウス・シーポートは、日系のツアー会社が催行しているNY観光で昼食摂取ポイント としてよく利用されているので、NY到着当日半日市内観光付きのツアーを申し込んだ方 は、おそらく間違いなく此処へ立ち寄ると思う。そのときちょいとこの稿のことを思い出 してください。  
サウス・シーポートは、米東海岸最大の魚市場であるフルトン市場の凋落に歯止めをか けるべく設営された、マンハッタン唯一の総合観光地区である。その中心的存在がピア1 7。魚市場を背景に豊潤な魚介類を利用したシーフード・レストランと「スウォッチ」や 「バナナ・リパブリック」などというカジュアルな有名ブランドを多数誘致して作り上げ た、きわめて今風なテナント・ビルだ。マンハッタンって、このテの観光客が便利に「買 い物して、食事して」と回遊できる設備が殆ど無いから、ツアー会社さんは結構どこも便 利に此処を利用しているようだ。  ピア17の3階デッキから
このピア17の3階デッキから見たブルックリ橋の姿を、僕はマンハッタンのベスト・ ヴュー・ポイントのひとつに挙げたい。こいつは間違いなしに価千金だと思う。日光浴用 の長椅子に寝ころがって見るもよし、欄干の角に設置してある望遠鏡を覗いてもよし。是 非々々、ショッピングに夢中になる前に、先ずは3階まで昇って貴女の眼でブルックリン 橋の雄姿を確かめてくださいな。きっとびっくりすると思うよ。1階や2階にある「セコ イア」や「ウノ」なんてぇレストランに入ってしまうと、ベキン号の方を向いて窓がある から、ブルックリン橋の雄姿を見事見逃してしまうことになるのでご注意を。先ず3階。 ここから始めよう。  
しかし。実は此処から見たブルックリン橋が一番美しい時間帯は、夕陽が沈みきってか らなんですな。だから後で自力で再度此処へやって来ないと、その極上の感動には出会え ない。特に3階の「ハーバー・ラト」というレストラン・バーからの眺めは掛け値なしで 素晴らしい。5月のフラワーショーが終わって、本格的に暖かくなってくる頃になると「 ハーバーライト」のデッキにはオープンカフェが用意されるので、潮風にあたりながら巨 大なロブスターを堪能すると共に、ライトアップされたこの雄大な19世紀の建造物を鑑 賞することが出来る。これは絶対にお薦めである。  この夜景にトライしてみたい方のために最寄りの地下鉄駅を明記すると、一番便利なの は2,3,4,5,J,M,ZのFulutonSt.あるいはA,CのBroadway-Nassau である。 帰りはピア17の近くにタムロしているタクシーを利用すると宜しい。ミッドマンハッタ ンのホテルまでは10〜20ドルといったところ。  

 僕はこのテラスが好きで、よくワープロ片手に出かけていく。そしてコーヒーと小さな タルトを注文して、これをちびちびとやりながらペコペコと原稿を書く。時折、視線を上 げると、目の前にデン!とブルックリン橋。良いんですよ、これが。はははは。実はこの 原稿も今、此処で書いている。  ブルックリン橋建設のドラマは、わりとそこいら中で書いたから、あえて書かないけれ ど、ローブリング親子を中核とするその人間模様は、半端な小説よりも感動的なお話だ。 目の前にその巨大な雄姿を見ていると、その建設のドラマが一世紀以上の時の壁を超えて リアルに幻視できるような気がしてならない。  
 NYって素敵な街だね。  ブルッ クリン橋の下から見たマンハッタン
 さて。もうひとつのベスト・ヴュー・ポイント、ブルックリン・ハイツから見たブルッ クリン橋のことだけど。こっちの方は目の前にデン!と摩天楼の勇景が迫っていて、その インパクトが強すぎるから、行ったことの有る方も「あれぇ?あそこからブルックリン橋 って、見えたっけぇ?」と思われるかもしれない。ブルックリン・ハイツのプロムナード のハイライトは、何といってもやっぱりイーストリバーを挟んだ目の前に広がる摩天楼の 峰々だもンね。実は同じ場所から左の奥に自由の女神も見えるんだけど、こっちのほうも 皆さん見逃してしまうようだ。それほどあの目の前に広がる摩天楼の群れの存在感は凄い ということである。  
最寄りの地下鉄を明記する。やはり一番便利なのは2,3のClark St. で、ここから進 行方向と反対側に向かって歩くと数分でブルックリン・ハイツのプロムナードへ到着する 。ここは眼下にイーストリバー東岸の倉庫地帯が広がる高台で、瀟洒に整備された遊歩道 である。先ずはベンチに座って暫し摩天楼の絶景に感動しよう。  
 僕はいつもブルックリン・ハイツのプロムナードは、滞紐中に2回は行ってみなさいと お薦めしている。夕闇迫るころ一度。天気の良い午後に一度。特に夕闇に浮かぶ摩天楼の イルミネーションは本当に美しい。息を呑むほど!というのは本当にこういうことを言う んだろうなと思うほどの景観である。ただし土日はだめ。何しろ大抵の会社が休みだから ね、せっかくの摩天楼も片っ端に窓の光が消えていて、その魅力は半減してしまう。ぜひ 平日の天気のよい日の夕方、出かけてみてください。プロムナードのベンチに座って、ゆ っくりと自由の女神の向こうに沈む夕陽を見ていると、NYへ来て良かったなぁ!って、 実感すると思うよ。そして、もし気が向いたらそのままブルックリン橋の麓までプロムナ ードから坂を降りて見てもよい。NYで一番眺めのよいレストランとして有名な「リバー ・カフェ」は此処にあるのだ。  

 相変わらず「リバー・カフェ」は盛況で予約無しで出かけるのは、ちとしんどい。しか しカフェテラスになっているウェイティング・バーで飲み物を楽しむだけくらいだったら 、充分席は用意してもらえると思うので、その旨受付で伝えて席を確保してもらうと宜し い。ここから見る夕景の摩天楼も、まったく壮絶と言ってよい美しさである。  週末のカフェ・フィガロ
 もちろん、午後の燦々と日光を浴びた摩天楼も、猛烈な存在感を示す。明るい陽射しの 下にデンと腰を据える摩天楼の峰々は、きわめて重量感溢れる印象で、その無言の圧力に 貴女は驚嘆されるに違いない。こんなもンを、こんなトコに作ってしまう人間って生き物 、本当に凄いなあ!僕は、ブルックリン・ハイツのプロムナードに行く度にそう思っちま うね。  日曜日は時折このプロムナードに近在のアーティストが露店を出す。これが面白い。写 真だったり、本格的な油絵だったり、クラフト・ワークだったり、とれたての新鮮なアー トが作り手から直接手渡される。これって素敵でしょ?余談だけど、NYで仕事をしてい る無名のアーティストって総じて女性のほうが感性豊かな気がするんだけど。どうだろう か?きっとこの街でさえ、女性がクリエーターとして生きていくには、男性よりも多くの 努力と才能を必要とするのかもしれないね。  
 平日は地元のジョガーたちが行き来する遊歩道である。欧米からの観光客も多くて(ブ ルックリン側は危険であるという宣伝が行き届いているから、日本人観光客は殆ど来ない が)そこいら中で各国語の感嘆の言葉が上がり、シャッターの音が飛び交う。  
 暖かい天気のよい日は、このままブルックリン橋の遊歩道を散策しに出かけよう。ブル ックリン橋に向かって北へ散策すると公園の端にぶつかるから、そのままいちど公園から 出て、下りの歩道を行こう。坂を下り終わるとブルックリン橋の側面へ到着する。見上げ るばかりの巨大な建造物である。目の前に積み上げられたその膨大な質量の石造の橋桁を 見ると、きっと貴女は驚嘆するに違いない。
 橋にぶつかったら、そのまま右手へ向かって橋沿いに歩く。少し行くと、低くなった橋 桁のひとつに石壁をくり抜いたような階段があるから、これを昇ると橋の上に出られる。 ちょいと不気味な階段だけど大丈夫。ちゃんと上に繋がっていますよ。  
 ブルックリン橋の遊歩道は、学校の体育館のような板張りである。鋼鉄製のロープが無 数に幾何学的に交差する中央を走っている。ジョギングする人。自転車で走る人。ゆっく と散歩する人。さまざまな人が行き交う。しばらく歩くと、その交錯するスチールロープ の中に入り込む。ニューヨーカーはこれを「スチール・ロープ」と呼んでいるのだが、風 の強い日に、この交錯する森の中を歩くと、空中から不気味な胴鳴りが響いてきて「なる ほどスチール・ハープだ。」と納得すると思うね。
 ブルックリン橋を徒歩で行くと、イーストリバーの中央辺りに達するには10分くらい は充分かかる。渡りきるには20分くらいだろうか。橋上のベスト写真ポイントはマンハ ッタン寄りの橋桁のところ。ここから見える摩天楼の峰々は本当に見事なものだ。ファイ ンダーを覗いてみると、スチールハープの向こう側に捕らえられた鳥のように高層ビルが見 える。少し視線を落とすと、すぐそこにピア17の黒と朱泥色のテナント・ビルも見える 。記念写真は、この橋桁のところが良い。ブルックリン側を向いて、橋上の景観が写り込 むようにして撮っても面白いのではないだろうか。  
 橋の途中に幾つも設置されたベンチに腰掛けながら、暖かなNYの午後をエンジョイし よう。


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