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5thアベニューには、NYのエッセンスがある
 NYという街の面白さは、この街に夢を賭けた人々の生きざまの面白さだと思う。
 カルバン・クラインが偶然に手に入れた成功へのワンステップの話。世界一高いビルに執着したヴァン・アレンと、その親友だった男との愛憎劇。親子2代全精力をブルックリン橋に注ぎ込んだローブリング親子の執念。自由の女神の建造に半生の殆どを費やしたバルトルディ。そしてセントラルパークを生み出したオームステッドの理想への情熱。世界の名品を集め捲くったロックフェラー、P・モーガンたち金満家の財力と、彼らが作り上げた美術館、博物館の数々。名前を挙げればキリのないほど沢山の人々が、この街で様々な夢を見て蠢き、実現しあるいは挫折していった。
 これほど、夢見る人々のドラマが詰め込まれた街は、他に無いと僕は思う。この街に群居して建ち並ぶ摩天楼は彼らの夢の数なのだ。
 その冷めやらぬ余熱と「気」を体感するには、自分の足で地図を片手に地下鉄やバスを乗り継いで彷徨し、ビルの谷間でソレを見つけ、触れてみなければいけない。そして、その夢の足許に立ち、見上げ、呆れ返り、感動する。その時に始めて時の向こう側から、この街で夢に生涯を賭けた人々の温もりが、鋭く真っ直ぐに伝わってくるもンだと、僕は思う。
 NYを歩こう!地図を手にして。

 

 
 
 
 

 出発点はまずグッケンハイム美術館から。

グッケンハイム美術館
Guggenheim Museum
1071 5th Ave.,212-423-3500
Open everyday but Thuseday,10:00-20:00
Subway/4,5,6 to 86th St.
 巨大な白い蝸牛を思わせる同館は、その形状通り前衛的なコレクションを誇る。近代美術館と共にNYにおける現代美術の雄だ。メトロポリタン美術館を出て、5thアベニューを北に歩くと数ブロック先に忽然と現れる。絶対に一発で判る美術館である。
 創設は1959年。現代アートのパトロンだったソロモン・グッケンハイムによって発案され建築されたが、諸般の事情で15年も完成までかかってしまい、オープン時には既に彼は亡かった。
 コレクションは彼が精力的に集めた欧州の抽象画やジャスティン・タンハウザーの集めた印象画・現代絵画の数々が中心となっている。ぐるぐると螺旋状のスロープを昇っていくと、20世紀ファインアートの全体像が把握できるように構成されている。 1992年に新装オープンしてから、ここのコレクションの充実ぶりはNY随一かも知れない。20世紀の前衛美術がクラッシックになってしまった今、この美術館の価値は高い。

ニューヨーク市立博物館
Museum of the City of New York
5th Ave.at 103rd St.,212-534-1672
Open Tuesday to Sunday,10:00-17:00;Sunday noon to17:00
Subway/6 to 103rd t.
 NYという街をテーマにした美術館である。ニュー・アムステルダムと呼ばれた開拓時代から、栄光の独立戦争、富の集中をもたらした大発展時代と、NYの全てが此処へ来ると見渡せる。中でもバノラマ状に広がる18世紀中頃のNYを描いた壁画と、独立戦争当時の人々の生活をテーマにしたジオラマが面白い。ほかにもロックフェラーの私邸に有った豪華なベッド・ルームを再現した部屋、さまざまな時代の家具調度品をコレクションしたコーナー、人形やおもちゃのコレクションなど、興味をひかれるものが多い。
 貴方が今観て歩いているこのNYが、どのような変遷を辿ってきて現在に至ったか、見事に教えてくれる貴重な博物館だ。
  また、NY関連の資料が充実しているミュージアム・ショツプもお薦め。

国際写真センター
International Center of Photography
1130 5th Ave.,212-860-1777
Open Wenthday to Sunday,11:00-18:00;Tuesday,11:00-20:00
Subway/6 to 96th St.
 写真が芸術か否か判らないけれど、人を感動させる力は確実にある。同館は報道写真家として著名なロバート・キャパの弟コーネル・キャパが創設した世界でも珍しい写真のための美術館である。コレクションは、豊かで直接的で、説得力のあるものが多い。ここのコレクションを「まるで絵のようだわ!」と誉めてはいけない。メトロポリタン美術館で、中世に書かれた肖像画を「まるで写真みたいだわ!」と誉めるより陳腐だ。
 ミッド・タウンにもICP分室があるが、やはりメインはこちら。アメリカにある美術館の常として、単なる展示だけではなくセミナーや講習会なども常時開設し、精力的に写真文化に貢献している素晴らしい美術館だ。
 ミュージアム・ショップも個性的で面白い。

メトロポリタン美術館
Metropolitan Museum of Art
5th Ave.(at 82nd st.)212-535-7710
Open Tuesday to Thursday and Sunday,9:30-17:15;Friday till 20:45
Subway/4,5,6 to 86th St.
 メトロポリタン美術館のハイライトは、創設当時からエジプト・コレクションだった。
チェズノーラ将軍がキプロス島から持ちかえった数多くの彫刻・副葬品に、人々は古代エジプトを夢見た。もちろん今でもそれは変わりない。相変わらずアメリカ人はエジプトが好きなんだ。
 おそらく本家カイロ美術館より興味深く散策できるのが、ここメトロポリタン美術館のエジプト・コレクションである。この広大で無尽蔵の美術館を1〜2時間くらいの予定で観られるのなら、ボクはここのコーナーを中心に見学されることをお薦めしたい。なかでもメクトラの副葬品のコレクションが興味深いが、やはり強烈なインパクトが有るのは間違いなくデンドウルの神殿である。アスワン・ダムの建設にあたって多大な貢献をしたアメリカ政府に、1978年エジプト政府が寄贈した歴史的建造物である。
 中央カウンターには日本語のフロアー案内パンフレットも有り、見学のためのプランが自分なりに組めるように工夫されている。
 メトロポリタン美術館は、1階2階あわせて18のセクションに別れている。前述のエジプト・コレクション、中世ヨーロッパ美術、アジア、中近東、中央アメリカなど、どのコーナーもそこだけで一日が終わってしまいそうな程広くて膨大なコレクションである。
駆け足で回っても圧倒的な情報に目眩がするだけで終わってしまうと思う。プランと基準を持って散策しよう。
 およそ大英博物館もエルミタージュ美術館もルーブル美術館も、前身とも言うべき背景となり得るコレクションが有って出来上がった美術館である。しかしこのメトロポリタン美術館にはそんなものが無い。まったくの無から19世紀の後半に、市民運動によって作られた美術館なのだ。従って後発のハンディは確実に有る。ここには、例えばミロのヴィーナスやモナリザ、ロゼッタ・ストーンに匹敵するような世界的な価値とも言うべきコクションは殆ど無いのだ。ここのコレクションは、アメリカの金持ちたちが金を出して買って歩いたものだ。
 19世紀の後半から20世紀初頭に懸けてヨーロッパ諸国はその疲弊した経済を補うべく、大量の骨董品美術品をオークションに放出した。それらを彼らが買い漁った訳だ。だからといって天下の名品が売りに出されるわけはなく、比較的小物ばかりが彼らによって収集された。しかしその精力的な買い漁りは猛烈を極めた。「質で勝負出来なければ量で勝負しよう」というアメリカ的体質が見事に具現化したのだ。
 なかでも中世ヨーロッパの絵画・美術品への執着は壮烈で、メトロポリタン美術館もこれらのコレクションが充実している。二階中央奥がそのコーナーだ。レンブラント、ラファエロ、エル・グレコ、ルーベンスなど、教科書の中で名前だけは聞いたことのある人々の作品がずらりと並んでいる。
 また、寄贈者の名を冠したウイングも興味深いものが多い。ロバート・レーマン・コレクションやライライ・アチソン・ワレス・ウイング、ロックフェラー・ウイングには是非寄ってみるべきだろう。
 日本でも「何処そこが、ゴッホやリキテンシュタインを何億円で買った」とか伝う話が批判的な風潮として云々されるが、僕は反対だ。金の有るうちは世界の財産を買い漁るべきである。それが次代への偉大なる贈り物になる。成金たちの慈善意識が、どれほど文化を保存し得るか、メトロポリタン美術館はその素晴らしい例なのだ。

 この辺りはミュージアム・マイルと呼ばれている地帯だ。その名の通り、実に美術館・博物館が多い。見所満タンな場所である。ところで、NYにあるこういった類の施設は大抵どこも私設で個人資産によって維持されているということ、知ってる?金持ちたちの文化的貢献ってぇ奴なのだ。だから遠慮しないで、きっちりと楽しませて頂こう。とりあえず、ミュージアル・マイルで僕がお薦めするところは、以下の3館。全部、制覇するのが難しかったら、適当に見繕って出かけてみよう。

アッパー・イースト・サイド
Upper East Side
along 59th and 96th Sts.,Bounded by Central Park and East River
Subway/4,5,6 to 68th St.till 103rd St.
 マディソン・アベニューからパーク・アベニューにかけて、この辺りに立ち並ぶビルは瀟洒な美しいものばかりである。アッパー・イースト・サイドは間違いなしに金持ちの街なのだ。ほとんどのマンションの前には正装したドア・ボーイが立ち、不審な闖入者が無いように目を光らせている。(不審な闖入者とはもちろんアナタのことです。)特にパーク・アベニューからマディソン・アベニュー、5thアベニューに繋がる各ストリートは、まさに彼らの聖域である。この辺にはミリオネラーが掃いて捨てるほど居る。アスター家、ホイットニー家、ヴァンダーベルト家なんて名前を挙げたらきりがないほどの豪邸・富豪の家が有るのもこの付近だ。
 マディソン・ストリートの有名ブランド・ブティック巡りをした後は、ほんの少し足をのばして、彼らの街を歩いてみよう。大きな犬を連れてセントラル・パークへ散歩に出かける見事なプロポーションの大富豪夫人にすれちがえるかも知れない。この見事なプロポーションというヤツ。実は猛烈に金のかかる道楽なのです。

 プラザ・ホテルの前から、メトロポリタン美術館までの距離というのが、実のところかなり有る。くたびれるのです。だから少し浮気をして、公園の中を歩いてみると良いかもしれない。グランド・アーミー・プラザから、セントラルパーク動物園の横を抜けるプロムナードに入って、途中のカフェでお茶したり、似顔絵書きのおっさんをからかったりしながら歩いてみよう。

トランプ・タワー
Trump Tower
5th Ave.(bet.56th and 57th Sts.)212-832-2000
Subway/E,F,N,R to 5th Ave.
5thアベニューの超一等地に建つトランプ・タワーは、3階までがフェラガモ、シャルル・ジョルダンなど一流ブティック。それより上は超高級レジテンスとなっている。最上階はスピルバーグが住んでいるそうだ。
 その黒と金の外装は、悪趣味を通り越して威厳さえ感じさせる。
 アメリカ人は立志出世伝が大好きだ。ついこの間まで、現代のヒーローはこのビルのオーナー、ドナルド・トランプだった。土地転がしで大儲けをした彼は、まさにアメリカン・ドリームそのもののような男だった。今は残念ながら、嫁さんと離婚するわハドソン・リバー沿いの再開発に頓挫するわで満身創痍の伏竜中である。コロンバス・サークル傍のニュー・トランプ・タワーで、起死回生を目指す彼にエールを送ろう。

 57thストリートと5thストリートの角。南東がティファニー。北東がワーナー・ブラザースのキャラクター・ショップ。南西がブルガリ。北西がバーグドーフ・グッドマン。目も眩まんばかりのNYだ 。

MOMA/近代美術館
Museum of Modern Art
11W.53thSt.(bet.5th &6th Aves.)212-708-9480
Open Friday to Tuesday,11:00-18:00;Thursday till 21:00
Subway/B,D,Q to 50th St.-Rockfeller Center;E,F to 5th Ave.
 ロックフェラー・センターのすぐ近く。53丁目、5thアベニューと6thアベニューの間にあるMOMAは、ジョン・ロックフェラーjr夫人だったアビー・ロックフェラーが中心になって創立された美術館である。そのコレクションは、19世紀後半に起きた新しい美術の潮流から始まり、今世紀半ばすぎのポップ・アート直前あたりまでを丹念にカバーしている。すなわち、セザンヌ、ゴッホ、モネあたりから始まって、ピカソ、ダリ、ミロといった欧州における現代美術の巨匠たちの作品など。ホッパーやポロック、ウォホール、リキテンシュタインといったアメリカ現代美術の作品ぐらいまでが守備範囲だ。
 ハイライトは、2階にあるモネの「睡蓮」ポロックの「ワン/31番」モンドリアンの「ブロードウェイ・ヴギウギ」など。ピカソ、ミロの作品にも見るべきものが有る。
 「印象派は判るけど抽象画は判らない」という貴方。是非、この機会にMOMAに行って見て下さい。20世紀の前衛と呼ばれる作品が、如何に19世紀ロマンチシズムの延長線上にあるものか、ここのコレクションをご覧になると実感されるはずだ。

 この辺りから5thアベニューは、見事にブランド・ショップ・アベニューと化す。カルチェ。フェラガモ。ステューベン。グッチ。クリスチァン・ディオール。そして、最近出店したディズニー・ショップなどなど、ご婦人たちの心ときめかすブティックが、これでもかぁ!と軒を並べる。もちろん、突然日本人観光客が増えるのもこの辺りの特徴。

聖パトリック教会
St.Patrick's Cathedral
5th Ave.(at 50th St.)212-753-2261
Subway/6 to 51st St.;1,9 to 50th St,;B,D,F,Q to 50th St.-RockfellerCenter;
E to 5th Ave.;N,R to 49th St.
 ロックフェラー・センターの前に屹え立つ白亜の教会。数本の尖塔がきわめて威厳のある建物なので、恰好の観光写真ポイントだと言えよう。正面横の重厚なドアは、その見かけの重々しさに反して24時間いつでも開いている。さまざまな宗教行事が常時行われているので、ちょっとだけ入って隠しく後ろからキリスト教文化を見学して見よう。ホールの広さ、天井の高さ、反響する牧師のミサの声。祭壇に向かって敬虔に頭を垂れる信者たちの姿勢に、きっと驚嘆するはずだ。訪ねるものを決して拒否しない素晴らしい教会である。
 ところで。教会の近くで物乞いに喜捨を求められたら、黙って何十セントかあげよう。
彼は教会の側で物乞いをしなければならないほど飢えているか、神が存在しないことに賭けようという博徒か、その何方かだからだ。飢えている者には分け与えるべきだし、勇気有る博徒は称賛すべきだと思う。

GE(RCA)ビル〜ロックフェラー・センター
GE(RCA) Building and Rockfeller Center
30 Rockfeller Plaza
Subeay/B,D,F,Q to 47th-50th Sts.-Rockefeller Center
 ロックフェラー・センターは、一つの独立した完全無比なる街を生み出そうとしたジョン・ロックフェラーの夢の産物である。もともとはコロンビア大学の所有地だった所で、当初はメトロポリタン・オペラハウスを建造する目的で借りたものだった。折しも全米を襲った大恐慌がその計画を頓挫させた。抜本的な見直しを余儀なくされたロックフェラーは、全て自己資金に依ってこの夢の街の建設を実施したのだ。
 現在は、およそ10ヘクタールの土地に18の商業・オフィスビルが立ち並ぶ。その中央にデン!と鎮座ましますのがRCAビルだ。もっとも今の正式名はGEビル。でも相変わらず誰もそう呼ぶ者はいない。ここの65階はレインボー・ルームと呼ばれており、レストランがある。まさに絶景なので是非昇ってみられるべきだ。 
 5thアベニューからの通りがチャネル・ガーデン。ここから入って正面中央にある広場の金色のプロメテウス像は、あまりにも有名だ。この広場は、夏はカフェ、冬はスケート・リンクとなる。絶好の観光写真ポイントである。

 5thアベニューと42ndストリートの交差点は、中々趣きが有ってよろしい。この辺りまで南下してくると、本当に歩いている人々の質が激変する。まったくごく普通に、我々日本人がイメージするままのマンハッタンというやつになるのだ。豊かな緑と光の量、どっしりと重量感を持って屹立する高層ビル。足早やに歩く地元の人々、きょろきょろする観光客。アイ・ラブ・NYの世界。42ndストリートの交差点に立って東を見てみよう。一際目立つ銀色の輝くビルがクライスラー・ビルだ。

クライスラー・ビル
Chrysler Building
405 Lexington Ave.(at 42nd St.)212-682-3070
Subway/4,5,6,7,S to Grand Central
 ラジエーターのグリルを模したという尖塔部分はステンレス製で、陽の光があたると眩しいほどに光り輝く。僕は、このビルがNYで一番美しいビルではないかと思っている。昔は展望台が一般公開されていたそうだが、今は昇ることは出来ない。
 このビルを生み出したのは「世界一高いビル」に憑かれたヴァン・アレンという男である。20世紀初頭。世界一高いビルの称号は長い間ウールワース・ビルのものだったのだが、そのチャンピオン・ベルトに挑戦すべくクライスラー・ビルは計画されたのである。華々しく栄光に満ちて建造が開始された時、彼の知らない処でとんでもない落とし穴が仕掛けられていた。ヴァン・アレンの親友だった男がヴァン・アレンの足を掬うべくチェース・マンハッタン銀行と、クライスラー・ビルより60cmだけ高いビルの計画を練っていたのだ。
 ほぼ同時に両社のビル工事が開始する。工事半ばにして、ヴァン・アレンは彼の意図を知った。沈思黙考した彼は、密かに工事中のビルの内部で長大な尖塔の製作を指示した。そしてビル完成当日。たった90分で、その尖塔が追加工事されたのである。ほくそ笑むヴァン・アレンの旧友は、たった90分で見事に地獄まで叩き落とされてしまった訳だ。
 その男たちの夢の跡、クライスラー・ビルが一番まとまって見えるのは、レキシントン通り35丁目あたり。あるいはチューダーシティ・プレィスの42丁目に掛かる橋の上あたり。夜になると美しくライトアップされ、その姿は中々見事である。

ニューヨーク市立図書館
New York Public Library
5th Ave. at 42nd st.,212-869-8089
Tours,Tuesday to Satuday,11:00〜14:00
Subway/7 to 5th Ave.;B.D.Q to 42nd St.;4,5,6to Grand Central
 世界最大級の蔵書量を誇るライブラリーである。ここに来て見つからない資料は、どこで探しても見つからない、と言い切りたくなるほどの量である。解説パンフによると、その蔵書量は本棚に並べて88マイル分有るそうだ。この「並べて何マイル」という表現がアメリカ人は好きで、ストランド・ブックセンターもその蔵書量をそう表現していた。 3階が閲覧室で、ここで辞書無しじゃ読めないようなヤツを見栄で我慢して見てると、
横を映画「ゴースト・バスターズ」に出てきたオバアちゃんみたいな図書館職員がゴロゴロと整理カートを押しながら行く。ああ!NYに居るんだな、と実感できる場所だ。 この図書館の前に立って斜前にもパブリック・ライブラリーが有る。こちらも市民の本棚として活躍しているところだ。

 ロックフェラーセンターを少し過ぎたあたりから、5thアベニューの西側に、鬱蒼と屹立する黒いビルが見えはじめる。こいつがエンパイア・ステート・ビルだ。中々、壮観な趣きで、この辺りからのエンパイア・ステート・ビルは絶好の写真ポイントでもある。もし予定が許すならば、夜のエンパイア・ステート・ビルを狙って、この辺りから撮る写真がなんてったって一番だよ。

エンパイア・ステート・ビル
Empire State Building
5th Ave. at 34th St.
Open Daily, till midnight
Subway/B,D,F,Q,N,R to 34th St.-Herald Sq.;6to33thSt.
 今だに周辺を圧して屹え立つその雄姿は、まさにこの街のシンボルである。夜は、時節折々によって美しくライトアップされる。1931年、世界不況の真っ只中に建てられたこのビルは、高さと共に建築コスト・建造期間も当時世界一だったそうだ。しかし完成後、テナントが集まらずエンプティ・ステート・ビルと仇名されたという逸話も残っている。展望台は86階と102階。出来れば時間を取って昼夜合わせて2回、昇られると良い。ここの眺望の凄さは、必ずや貴方にカルチャー・ショックを与えるはずだ。
 展望台行きのチケット売り場は地下一階にある。同じフロアに、何でも世界一を集めたギネス博物館が有るから此処にも寄ってみよう。「面白うて やがて哀しき 世界一」という気分になる。
 街なかで、このビルが美しく見えるところは多い。34丁目の通り。NY私立図書館裏の公園。あるいは前述の5thアベニュー、26丁目付近あたりからが何といってもお薦めだ。

 マンハッタンは北から南に向かって暖やかな下り道である。なかでも、この辺りはぐっと下りがきつくなる。天気の良い日は、なんとか周辺のお土産屋を覗きながら歩ける距離でもあるが、実のところ楽しい通りとは言えない。ロクな店が無いのだ。まあ、強いて言えばデカいコンピューター・ショップのコンピュータUSAがあるくらいなもン。だからと言って、辺りをパスするために地下鉄を利用するには、もうひとつ厄介で不便な処なのだよ。仕方ないので、そそくさと、あんまり脇目も振らずに南下を続けよう。

フラットアイアン・ビル
Flatiron Building
1755th Ave.at E.23th St.
Subway/N,R,F to 23thSt.
 1902年に建てられたフラー社のビルは、その異様な形状から人々に「アイロンみたいな」ビルと仇名された。鋭角な立体三角形をしたその姿は、確かに正面から見るとそんな風に見える。一番狭い部分は2メートルもないそうだ。現在でも現役のオフィス・ビルとしてきちんと機能しているのが、この街らしくて良い。しかし噂によると内部の設備の老朽化は壮絶なものだそうだ。
 高層建築が乱立しているNYで、全身が見渡せるビルは少ない。こいつは6叉路に建っているおかげで見事に全身が見渡せるのだ。その意味でも貴重なビルである。マディソン・スクェアのベンチに座って昼食でも食べながら、じっくりとその雄姿を眺めよう。

 安売り王「ダフィーズ」の前を過ぎて、そのまま南下を続けると、ブロードウェイと5thアベニュー、14thストリートに出る。もうちょっとで5thアベニューの終点、ワシントン広場である。

ワシントン・スクェア
Washington Sq.
atthefoot of 5th Ave.(in Greenwich Villege)
Subway/A,C,E,B,D,F,Q to w.8th St.
 隣接するNY大学のキャンパスみたいになっているワシントン・スクエアは、教科書や楽器を手にした学生たちの溜まり場である。休日はこれにストリート・パフォーマーが加わる。バトンを回したり、楽器を演奏したり、火の輪くぐりをして見せたり、何組ものパフォーマーが公園の彼処に立つ。もし天気が良かったら、ヴィレッジでの昼食は、この公園のベンチに座って彼らの芸を堪能しながら済まそう。そして帽子を持って廻って来たら、25セント硬貨を幾つか入れてあげよう。それだけで、パフォーマーも貴方も良い気持ちになるはずだ。
 公園入口に建つ凱旋門は、ジョージ・ワシントンの功績を讃えて建てられたものだ。当初は木製だったそうだが、今は石造に建て替えられている。天下の5thアベニューは、この凱旋門の前から始まる。公園南西端のチェス・コーナーで、捻もす石製のチェス盤に向かう老人や、ドッグ・ランで犬を遊ばせる端正な女性たちを見ていると、ヴィレッジが生活の場であることを実感するはずだ。

 5thアベニューは、ひたすら真っ直ぐな道だから、沢山のビルがグランドキャニオンの谷間のように両壁に並んでいるのを楽しみながら、北上してみよう。地下鉄はA,C,E,B,D,F,Q のw.8th St. が近いんだけれど、少し北に向かって歩いてみるほうが良い。ちょうど8thストリート辺りまで来たところで振り向いてみると、凱旋門の後ろにワールド・トレードセンターが重なって見える。こいつが、なかなか素敵な景色なのだ。
 12thストリートの角にあるザ・フォーブス・マガジン・ギャラリーの前を過ぎると、14thストリートと交差する。この通りは雑多なディスカウント商品の店が寄っちゃかばる所だ。商売しているのはインド系の連中が中心。買い物しているのも、大抵カラードばかりだ。
学生街の様相を呈していた5thアベニューは、このあたりで見事一変する。
 5thアベニューには、NYのエッセンスがある。


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